注目の企業に学ぶ(経営者インタビュー):株式会社大木産業 | 注目の企業に学ぶ(経営者インタビュー) | 大同生命
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注目の企業に学ぶ(経営者インタビュー):
株式会社大木産業

2019.08

「その先に、みんなが喜ぶ顔がある」、それが我々の目指す仕事です。

株式会社大木産業

運送業を柱に、高所作業車に特化したレンタル業、得意とする高所作業の技術を活かした引越サービス業などを展開する株式会社大木産業。約二年前、大亀宏徳(おおき ひろのり)社長は代表就任の挨拶で新たに「『運ぶこと』を通じて世間の人々に感動を」という経営理念を掲げられました。
その言葉の背景には何があるのか、その先に何を見据えているのか。率直な想いを伺いました。

1.運送業は「共存共栄」の理念を具現化できる世界。

当社の原点は、トラック一台から始まった運送業です。大手スーパーの配送業務から地道に仕事を増やし、会社組織になったのが約45年前。私自身、幼少期からトラックの助手席に座り、物を“運ぶ”という仕事を見ながら育ちました。

トラックドライバーのほとんどは、車や運転が好きで、この道で生きることを選んでいます。しかし、どんな業種・業界でも同じだと思いますが、好きという気持ちだけで通用するほど甘い世界ではありません。私は必死で働きながら、真摯にお客さまと向き合うことの大切さを学び、自分なりに“物を運ぶという仕事”の使命について真剣に考えるようになっていました。

この30年、私が考え、求め続けている“仕事の在り方”を一言で表すと「共存共栄」です。「荷物を無事に、正確に運んでほしい」と願うお客さまに、期待を超える信頼性で配送することは、お客さまの繁栄に結びつくことです。また、同業者間で仕事を奪い合うのではなく、困ったときに助け合えば、お互いに配送効率を向上させることができます。我々の仕事は物を「運ぶこと」。お客さまの要望や期待に応えられない可能性があるとき、助けてくれるのは営業ナンバーを付けたトラック、同業の仲間だけなのです。もしそこで、他社を“商売敵(がたき)”と思っていたら、肝心の運ぶことすらできなくなってしまうでしょう。

当社の一番の強みは、自分本位な考えの従業員がいないことです。お客さまのために、仲間のためにと、頭より先に体が動く人間ばかり(笑)。ほかの従業員や、それこそ私が困っていたら「社長、自分がやりましょうか」と、当たり前のように面倒を引き受けてくれます。そんな従業員に対しても、私は「共存共栄」の心で向き合いたい。ドライバーのいないトラックが走らないのと同様に、従業員と会社がそもそも「共存共栄」の関係であることを、決して忘れてはいけないと思います。ですから、私には「社長は偉い」という感覚がありません。社長業の責任の重さを日々痛感していますが、それは私の役割であって上下関係ではないと思うのです。

私は日々、仕事を終えた社員一人ひとりに「お疲れさま」と労(ねぎら)いの言葉をかけるようにしています。暑い日には「ちゃんと水分補給をしているか?」と、疲れた顔をしていたら「何かあったのか?」などと、気になることは言葉にして伝えるように意識しています。声をかけることは“心をかける”こと。ふんぞり返って「ご苦労さん」と言われれば、上から言われたように感じるはずです。言われて嫌だった言葉を使わないように、されて嫌だと感じたことをしないように、常に自分に言い聞かせています。

現在、20代の若手から60代の熟練まで“家族同然の仲間”は大亀社長を含めて22名。写真は取材時に帰社していた“仲間たち”と。

2.気持ちよく働く。その先に、お客さまの“喜び”がある。

私どもの会社は自他ともに認める、いわゆる“アットホームな会社”です。私には「社員という名の家族を守るためなら、いざとなれば何でもやってやる」という覚悟があります。しかし、家族同然の存在であることが“ぬるま湯”や“馴れ合い”につながってしまってはいけません。考えるのは「従業員みんなに、気持ちよく、楽しく、イキイキと働いてほしい」ということです。先ほど、好きだけでは通用しない仕事だと言いましたが、好きという気持ちがなければ、お客さまに“感動”をお届けするような仕事はできないのではないでしょうか。当社が従業員にとって気持ちよく働ける環境であれば、その気持ちはお客さまにも伝わりますし、少々つらいことがあっても踏ん張れるはずです。お客さまに感動していただけるほどの仕事を一度でも経験した従業員は、「もっと喜んでいただけるようにしたい」と思うようになります。私自身がそうでした。何歳になろうと、立場や役職が変わろうと、お客さまや仲間が喜んでくれること以上の“報酬”はないような気がするのです。私にとっての「共存共栄」とは、突き詰めると「みんなが喜ぶ顔」なのかもしれません。

当社が運送業以外に展開しているレンタル業でも、従業員たちはお客さまを“びっくり”させています。当社では、基本的に高所作業車に特化して多種多様な機種を取り揃えているため、様々な業種の方にご利用いただいています。操作には資格が必要なので、オペレーターとして当社の社員を派遣もすることも多いのですが、するとその“腕”に驚かれるのです。今の高所作業車は高性能で、資格さえあれば誰でも動かすことはできます。しかし、その動きに無駄があるかどうか、安心して見ていられるかどうかは別問題。例えるなら、車の運転が苦手な人が何度も切り返しながら車庫入れをするのと、上手な人が一発でピタッと停車させる違いのようなものです。お客さまに一切不安を感じさせない。それも、私どもが提供できる“感動”の一つだと思います。

その技術は学校や図書館などの公共施設の移転や、引越業にも活かされています。阪神・淡路大震災のときには、エレベーターの動かなくなったマンションの高層階からの引越もお手伝いしました。大掛かりな移転や引越作業をしなければいけないときなどは、私どもが“家族同然の会社”であることのパワーが活きてきます。“家族の家族”まで駆けつけてくれ、集まった30人、40人の力を結集して一気に完遂してしまうのです。「我々は小さな会社だけれど、この団結力はちょっと自慢してもいいかな」と思ったりします(笑)。

今、私には一つの目標があります。従業員とそのご家族を招待して、どこか慰安旅行に連れて行ってあげたい。泊りがけの旅行が無理なら、日帰りの温泉でゆっくりするだけでもいい。仕事の厳しさを理解し、従業員の頑張りを支えてくれているご家族へ、感謝の気持ちを言葉だけでなく形にして伝えたいのです。それは“小さな目標”かもしれません。ですが私には、売り上げの数字以上に大切なことで、その積み重ねこそが社長業の使命であるように思えます。なぜなら、従業員のご家族とも「共存共栄」の関係であるべきなのですから。


photo:Hirokazu Yoneda

企業DATA 株式会社大木産業

本社営業所 兵庫県神戸市西区森友1丁目66番地
代表取締役 大亀宏徳
創業 1968年(昭和43年)
設立 1974年(昭和49年)
事業内容 一般貨物自動車運送事業、第一種貨物利用運送事業、自動車有償貸渡し事業等
Webサイト http://www.ookisangyo.com/
代表取締役 大亀宏徳 Hironori Ooki

1972年、兵庫県生まれ。3歳の頃から父(創業者・大亀保彦現会長)のトラックの助手席に乗って全国を駆け回り、10代になると配送助手や、引越作業を手伝うようになる。'89年、大木産業に入社。運行管理者をはじめ、高所作業車、フォークリフトなどの資格・免許を20歳から積極的に取得。運送から引越、高所作業まで、いち作業員として従事する。周囲から「二代目だから」と特別視されないように、がむしゃらに働くがあまり、過労と心労で倒れたこともあった。'99年、27歳で専務取締役に就任して実務の大半を任されるようになってからも、現職に就任した2017年以降も、できる限り現場に立ち続ける。その理由を「趣味と言えるくらい、仕事が好きだから」と笑うが、それとともに「社員が何を喜び、何を嫌がるのか。どんな気持ちで仕事に向き合っているのか」を感じ取るためでもあるようだ。

[出典]頑張る経営者の応援サイト