注目の企業に学ぶ(経営者インタビュー):喜多機械産業株式会社 | 注目の企業に学ぶ(経営者インタビュー) | 大同生命
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注目の企業に学ぶ(経営者インタビュー):
喜多機械産業株式会社

2019.09

「人々の笑顔が持続可能な社会」を本気で考えている会社です。

喜多機械産業株式会社

建設機械や土木資材の販売・レンタル業を基盤に、複合型専門商社として地域に密着した事業を展開する喜多機械産業。一方で時代の要請に応えながら、太陽光や小水力発電、水処理などの環境分野も手掛け、国連の専門機関に登録される世界有数の技術力を誇る企業でもあります。
「人と自然の未来を本気で考える企業」の次世代を担う、喜多真一常務にお話を伺いました。

1.社員の成長を促す事業が、企業の大きな財産になる。

当社は、建設機械に関連した事業を最大の柱にしています。そこでの強みは、販売とレンタル、修理部門とが三位一体となって機能していること。それによって地域の建設・土木事業者の方々からの、あらゆるご要望にお応えできることです。例えば、工事の規模や内容に応じて最適な機械や資材を提案して貸し出すことも、販売した機械の修理やメンテナンスも、全部署、全営業所が柔軟に連携して対応します。中古機械の買い取りも行ない、小規模事業者の方でも比較的容易に「必要最低限の機械は購入しよう」と検討していただける体制も整えています。社員245人中、約50人が整備技能の有資格者であることも、お客さまから“パートナー”として信頼していただくことを重視してきた結果の一つです。

建設に関わる者の特有な考え方なのかもしれませんが、私どもの仕事は、地域全体と会社の発展、社員の成長とが限りなくイコールで結ばれているように思います。ですから、私どもの仕事は限定的ではありません。地域のために何ができるか、お客さまのために何ができるかという仕事の本質を、社員一人ひとりが本気で考えること。その本気度の高さが、組織としての強さにつながっているのだと思います。

特徴的な事業の一つに、3年程前からスタートした農業用機械のレンタルがあります。農機は田植えや収穫など、機械を使う時期が皆さん一緒ですから、従来レンタル業が成立しないとされてきた分野です。しかし私たちは、地域の農家さんが減少していく現状を黙って眺めていることはできませんでした。調べていくと、少子高齢化の問題と併せて、農機の購入費用の問題があることが分かりました。何百万円もする機械を買ってまで、農業を続ける気はないとおっしゃる農家さんが多いのです。使っている機械が「壊れたらもうやめる」と。

そこでレンタル農機があれば、少しでも長く続けていただけるのではないかと考えました。また、農業を始めたいと志す若い世代が、初期投資の資金不足を理由に一歩を踏み出せないでいるケースもあります。そこにもレンタルのノウハウを活かすことで、徳島の農業を守れたら…。幸い、徳島県内でも地域によって気候にかなりの差があります。すると、同じ作物の収穫期にも、数週間ぐらいのずれが生じるはず。それを利用すればレンタルでもいけるのではないか。上手くいかなかったら中古で販売してもいいし、何とでもやりようはある。とにかく一度、やってみよう。完全に、収支の見込みよりも“想い”が先行した挑戦だったのです。

現状、少しずつ手応えは感じていますが「軌道に乗った」とまではいえません。しかし、例えばクーラーの効いたトラクターがあれば、炎天下の作業も楽になります。利用してくださった農家さんは「借りることができて、助かったよ」と喜んでくださいます。そんな一言や笑顔には、収支では計れないレンタル業の本質が、全ての仕事の本質があるように思います。仮に数字上では失敗だとしても、社員の成長を促す事業に育てていけたら、会社にとっても間違いなく大きな財産になるはずです。

2.現状にも未来にも責任を持ち、全力で取り組んでいきたい。

私自身、当社に入社してから、人生観が変わるような仕事をいくつも経験することができました。中でも大きな糧となったのは、フィリピン、ミャンマー、エルサルバドルで行なった水処理や小水力発電のプラント事業です。JICA(国際協力機構)のプロジェクトで、私は当初、ある種のボランティア感覚で「貧しいところに機械を納めて電気と水を供給する」と、言葉にするのが難しいのですが、いわゆる“仕事”とは少し異なる受け止め方をしていました。

日本での仕事の合間を縫って2週間程度の現地滞在を繰り返していたのですが、何度行っても、行くたびに歓迎してくださる。歓迎といっても、日本人の日常からすれば質素なもの。しかし、本当に“心からの歓迎”なのです。そして数年後、最後の最後に照明が灯り、きれいな水が出たとき、村のおじいちゃんやおばあちゃん、子どもたちが抱きついてきて「ありがとう」と…。私が何かを「してあげた」ではなく、私のほうが得がたい何かを「いただいた」気がしました。

そのとき感じたのです。「あ、これが仕事なんだ」と。それは貧しい人を相手にしたからでは、ありません。ライフラインに関わる支援事業だったからでもありません。一つ一つのことに本気で向き合い、お客さまが喜ぶことに全力で取り組めば、それは自分にも還ってくる。金銭的なやりとりだけではなく、物や技術を介して気持ちが行き来することが“仕事”であり、利益や売上はその結果にすぎないのだと理解したのです。

その想いは、経営に携わるようになってさらに加速しています。日々の仕事を丁寧に、大切にしていくこと。それと同時に、社員と地域の将来、自然環境や地球の未来とも真摯に向き合うこと。綺麗事に聞こえるかもしれませんが、そのどちらに対しても全力ですし、本気です。むしろ、目先の利益や自社のことだけを考えていたら“会社の未来”はないと思っています。

とはいえ、社会を変革するような大それたことができるわけではありません。社員に働きやすい環境を提供するために、様々な制度を見直して「くるみん(厚生労働省)」や「健康経営優良法人(経済産業省・日本健康会議)」などの認定も受けました。社員がもっと自分たちの職種を誇りに思えるように、建設業界全体のイメージ向上にも取り組みます。地域住民の方々に向けて「防災フェア」などを開催して建設や土木の社会的役割を知っていただくほかに、本社の敷地内に子どもたちが重機に親しめる“広場”的なスペースを設置することも計画中です。プロ・アマ問わず、地域の様々なスポーツの支援活動にも全力を注いでいますが、今後は地域の高齢化や人口減少の問題とも向き合っていかなければなりません。そして何より、私どもの事業活動自体が社会にとって有意義なものであるように。それら一つ一つに本気で取り組み、一つ一つを積み上げていきたいと思います。


喜多機械産業の水処理技術(排水処理システム全体の設計手法・施工手法)と小水力技術(小水力発電全体設計手法・施工手法)は、
国連の専門機関である国際連合工業開発機関(UNIDO)東京投資・技術移転促進事務所が開発途上国・新興国の持続的な産業開発に資する
優れた技術を紹介する「サステナブル技術普及プラットフォーム(STePP)」に登録されている。

photo:Syuji Takeda

企業DATA 喜多機械産業株式会社

本社 徳島県徳島市庄町3丁目16番地
代表取締役 仲田優晴
専務取締役 辻 紀子
常務取締役 喜多真一
創業 1926年(大正15年)
設立 1961年(昭和36年)
事業内容 土木建設建築関連商品・林業用機械・農業用機械等の販売・レンタル・修理事業、太陽光発電システムの設置及び保守事業、汚濁水処理等各種プラント事業、ユニットハウスの製造・販売・レンタル事業等
Webサイト https://kitakikai.co.jp/
代表取締役 仲田優晴 Masaharu Nakata

1948年、徳島県生まれ。立命館大学を卒業後、徳島市役所に入所。31年間にわたり地域の振興に尽くし、2003年に喜多機械産業株式会社に入社。先代の補佐的役割を担うと同時に、基幹事業である建設機械関連事業をベースに、第二、第三の新機軸を打ち立て、商圏の拡大にも取り組む。'08年、現職に就任。「土台を踏み固めた上で、何を構築するか。ベースが堅固であれば、どんな挑戦もできます。逆に、ベースを大切にしていなければ、どんなに面白い発想も活かすことはできないのです」と語る。

常務取締役・営業本部長 喜多真一 Shinichi Kita

1989年、徳島県生まれ。神戸学院大学を卒業後、大手レンタル企業に入社し、建設機械のレンタル事業に従事。業界のイロハを学びながら、担当営業所の売り上げを倍増させる。2013年、喜多機械産業株式会社に入社。整備、営業などの現場を経験するほか、海外事業プロジェクトに参画。また、幼少期から大学時代まで本格的にサッカーに取り組んだ経験から、積極的に地域のスポーツ支援活動を行ない、サーフィンを通して抱いた環境への危機意識から“表面的ではない、企業の社会貢献”に取り組む。'17年、現職に就任。

[出典]頑張る経営者の応援サイト