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フカボリインタビュー

「その献身はどこからくるのか」大阪ブルテオン 清水邦広選手×永露元稀選手

大阪ブルテオンの清水邦広選手と永露(えいろ)元稀選手。
共に東海大学を卒業しながらも、全く異なるキャリアを重ねてきた2人だが、共通しているのは「まわりを輝かせる献身」。
清水選手は16年間のキャリアを通じて、地域とのつながりを深めながらバレーボールの普及活動に尽力。
永露選手はセッターとしてプレーで活躍するだけでなく、チームのバランサーとして組織貢献に重きを置く。
2人が考える「自身の役割」とは何か。そして「とにかくやってみる」その重要性とは。競技の枠を超えて語られる想いに迫りました。

地域貢献への想い。子どもたちの夢に、そして誰かの元気のために。

――同じ大学で学び、競技を通じて絆を築いてきた間柄ですが、担ってきた役割は全く違うお二人の「バレーボールを通じた地域貢献活動」についてお聞かせください。どのような地域貢献活動をこれまでにしてきましたか?また、SVリーグになってからの注目度の高まりで、地域貢献への意識は変化してきたのでしょうか?

清水選手 地域貢献活動と聞かれて真っ先に思い浮かぶのは、やっぱりバレーボール教室。「プレー以外で、この競技を通じてできる地域への貢献」を考えたとき、僕にとって最も意義のあることは、子どもたちにバレーボールの楽しさを伝えることです。教室の最後に子どもたちが「また来てください!」と笑顔で声をかけてくれる。そんな場面に出会うたびに、「ああ、バレーボールを通じて少しでも社会に貢献できたんだな」と、胸が熱くなります。

実を言うと、最初の頃は「決められた活動をこなしているだけ」という感覚が強かった。でも、その意識も大きく変化しました。子どもたちは、僕たちと同じコートでボールを追いかけることで、未来のバレーボール選手を夢見るようになる可能性があると感じたことがきっかけです。バレーボール教室は、「夢の種」を植える場所になり得る。そんな可能性を感じてから、大きな意味を持つ活動になりました。

またコロナ禍の2021年に地元の福井市に寄付をしましたが、そのときは「どんなに小さなことでも、行動に移すことが大切なんだ」と心から感じることができました。そのことを忘れずに、困っている人の力になれるような活動をこれからも積極的に続けていきたいと思っています。

永露選手 「個人として注目度が高くなってきているな」と感じたことはあまりないですが、大阪ブルテオンというチームが持つ力は本当にすごいと感じています。観客数を見ても、人気が高まっていることを実感します。ファンの皆さんが増えているということは、影響力があるということ。そういう強い影響力をもつチームに属しているからこそ、社会に貢献できるチャンスも増えてきているという実感は日に日に強くなっています。

プロスポーツ選手として今後は復興支援にも新たに関わっていきたいと考えています。日本では地震や津波など、多くの自然災害が発生しています。被害を受けた地域の人たちの苦しみや、復興に向けた努力を知るたびに、何か力になりたいと思うようになりました。実際に被災地へ足を運んで、自分の目で現状を確かめ、その場で何ができるのかを考えたい。バレーボールを通じて、現地の人たちと交流することが、少しでも元気や希望につながればいいと思います。

大切なのはまわりのために動く心。まわりが輝けば、自分も輝く。

――お二人はどのような形で組織への貢献を意識しているかお聞かせください。

清水選手 僕自身は「チームを引っ張っていこう」という強い意識はあまり持っていません。僕はもうベテランと言われる年齢。ベテランの役割は、若い選手たちがのびのびとプレーできる環境を作ること。どちらかというと、指導者目線で彼らを助けてあげることが、自分に求められていることなのかなと思っています。同じ言葉でも「コーチに言われる」と「チームメイトに言われる」では、伝わり方が違うことが多々あります。そういう部分に意識して言葉を伝えられるのは、ベテランにしかできないことだと思っています。

特に大事にしているのは「絶対手を抜かない」ことです。ベテランが若手に全部押し付けて、楽をするチームってなんだか嫌ですよね。若手にも、「ベテランになったからといって、手を抜くことはない」という姿勢を見せていきたいし、それをモチベーションに変えてほしいとも思っています。

年齢を重ねると、自分が組織の中心ではなくなることは当たり前にあります。それでも腐らずにチームのために何ができるかを考え続けています。若手がプレーしやすいようにサポートし、チームが機能するために陰で動く。それは、ある意味「献身」とも言えるかもしれません。その献身こそが自分の価値を高めていると感じています。誰かがやらなければならない役割なら、自分が率先してやる。それがチームに貢献するベテランのあり方だと思っています。

永露選手 僕はセッターというポジションで、年齢もチームの真ん中ぐらいと、上下のバランスを取るのが役目かなと思っています。一人ひとり個性があるので、話し方や伝え方にも気を使いながら接することが大切です。プレーだけでなく、試合の流れを作るポジションでもあるので、チームがまとまるために、上下の橋渡しのような役割を担うし、そうなるよう意識して動いています。

ある意味でセッターは「板挟み」のようなポジションかもしれませんが、それを苦に感じることはありません。むしろチームメイト一人ひとりの性格やプレースタイルを知るのが楽しいです。「この選手はこういう言い方をした方が響くかな」とか、「こうやってモチベーションを上げれば、もっと良いプレーが出るかもしれない」と考えながら、コミュニケーションを取っています。スパイカーが気持ちよくプレーできるように、「どんなトスが欲しい?」と積極的に聞いたり、プレー中のフィードバックを取り入れたりしながら、関係性を作っていく。それがセッターとしての自分の価値を高めることにもつながります。どの組織でも同じかもしれませんが「みんなが活躍する」という状況こそが、最も「チームが機能している」状態ではないかと思っています。

小さな積み重ねが、大きな変化を生む。仲間と支え合うことで、常に進むことができる。

――お二人は自身の成長、チームの成長には何が大切だと感じますか?

清水選手 助け合いが重要だと思います。僕は大きなケガをした時、たくさんの人の支えがあって困難や試練を乗り越えられました。ケガによって、それまでの自分の世界が180度変わってしまう。普通に歩けていたのに、次の瞬間にはできなくなる。そんな状況に直面すると、一気に視界が狭まり、何もかもが遠く感じてしまうんです。

僕自身、すぐに切り替えられるタイプではありませんでした。ケガをしてから1週間くらいは、ただ落ち込むしかなかった。でも、そんな時にあるコーチから「小さな積み重ねが、後に大きな変化を生むんだぞ」 と声をかけてもらいました。その言葉を信じて、コツコツと、とにかくやってみるしかないと思えたんです。そして僕はコートに戻ることができた。これはきっと、どんな困難にも当てはまることだと思います。すぐに結果が出なくても、続けることで必ず変化が生まれる。積み重ねを信じることが、どんな困難にも立ち向かうための鍵になると思います。

また、この経験を通じて自分が決して一人ではなく、「人に支えられていることの大切さ」を改めて実感しました。チームメイト、スタッフ、家族、ファンの皆さん、本当に多くの人たちが支えてくれました。だからこそ、今度は僕が誰かを支え、誰かが困難を乗り越える力になりたいと強く思うようになったんです。

永露選手 自身の成長のためには「まずはやってみる」ことをとても大切にしています。というのも、僕はポジション変更、いわゆる「キャリアチェンジ」を大学で経験しています。高校時代はアタッカーでしたが、大学進学のタイミングで監督から「セッターに転向してほしい」と言われたんです。オリンピックや日本代表で将来プレーすることを考えると、可能性が広がると。
だけど、やってみると「なんで自分がセッターなんだ?」という不安を何度も感じました。これまでとは全く異なるプレースタイルを求められたので、最初はついていくのに必死で、自分を信じられなくなったりもしました。そんなときに、高校の監督に相談したんです。監督から言われたのは、「いろんなアイデアを取り入れることは無駄じゃない。最終的に合わないと思ったらやめればいい。でも、最初から否定するんじゃなくて、一回はやってみることが大事だよ」という言葉。

それを聞いてから、何事も「とりあえずやってみる」という考え方に変わりました。監督やコーチだけじゃなく、先輩や他のセッターのプレーを見て、「この動きはいいな」「この言葉の使い方が大事なんだな」と感じたことを、どんどん取り入れるようにしました。「合わないものは削ぎ落とせばいい」と割り切ることができていたので、気持ちがかなり軽くなり、ポジションの魅力もわかるようになりました。

清水さんが言っていたように、「小さな積み重ねが、大きな変化を生む」 というのは本当にそのとおりだと思います。すぐに結果が出なくても、とにかく続けてみること。そして、仲間と支え合いながら前を向いて進んでいくこと。バレーボールに限らず、どんな困難に直面しても、その姿勢が大切だと思っています。

――最後に読者の皆さまにメッセージをお願いします。

清水選手 今、バレーボールはどんどん盛り上がってきています。その中で、僕自身も皆さんに元気を届けるために、全力でバレーボールに打ち込んできました。一戦一戦にすべてをかけ、最後には優勝の喜びを分かち合えるよう、皆さんも一緒に戦ってください。僕たちとともに、バレーボールの熱をさらに高めていきましょう!

永露選手 僕たちは試合やバレーボール教室を通じてしか直接的な恩返しはできません。でも、こうした活動ができるのも選手だけの力ではありません。運営スタッフやチームを支える関係者、そしてファンの皆さんが一丸となってバレーボールを盛り上げてくれているからこそ、プレーに集中できています。だからこそ、改めてチーム全体、そして応援してくださるすべての人が一つになって、このスポーツをさらに発展させていけたらと思っています。これからもよろしくお願いします!

大阪ブルテオン 清水邦広選手

大阪ブルテオン 清水邦広選手

圧倒的なパワーと経験を武器に、献身的なプレーでチームを支えるベテランアタッカー。

大阪ブルテオン 永露元稀選手

大阪ブルテオン 永露元稀選手

冷静な判断力と繊細なトスワークで攻撃を組み立てる、長身セッター。

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