中小企業の在宅勤務(テレワーク)実施状況
中小企業経営者アンケート調査「大同生命サーベイ」
2020年5月度レポート
調査結果のポイント
新型コロナウイルスの感染拡大により、5月度の業況DI(自社の業況)は、前月比▲4.9pt悪化し、▲45.0ptとなるなど、経済活動に深刻な影響が出ています。今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「接触8割減」に向け、政府が在宅勤務(テレワーク)の実施を要請するなかで、中小企業の在宅勤務の実施状況や課題について調査しました。(調査期間:5月1日~5月28日)
- 中小企業の在宅勤務(テレワーク)の実施状況は、「業種等が適さないため実施不可」が全体の72%と最も多く、業種別でみると「宿泊・飲食サービス業」(91%)「医療・福祉業」(87%)が多くなりました。一方、「実施または実施予定」は18%となり、業種別でみると「情報通信業」(74%)が最も多くなりました。
- 在宅勤務(テレワーク)の従業員利用割合は、「従業員の3割以下」が53%と最も多く、在宅勤務実施率が低い業種で利用割合が低くなる相関関係がみられました。
景況感
現在の業況と将来の見通しの推移
※2020年4月以降の調査は、従来の訪問調査に加え、新型コロナウイルス感染防止への対応として、ご契約企業を中心に電話・郵送調査を実施しています。その結果、2020年2月以前の調査データと比較し回答企業の属性(業種・従業員規模等)の占率に差異が発生していますので、ご注意ください。
※2020年3月は新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ調査を中止しました。
個別テーマ:中小企業の在宅勤務(テレワーク)実施状況
Q1. 在宅勤務(テレワーク)を実施していますか。
- 中小企業の在宅勤務(テレワーク)の実施状況は、「業種等が適さないため実施不可」が全体の72%と最も多く、業種別でみると「宿泊・飲食サービス業」(91%)「医療・福祉業」(87%)が多くなりました。一方、「実施または実施予定」は18%となり、業種別でみると「情報通信業」(74%)が最も多くなりました。
- 在宅勤務(テレワーク)の従業員利用割合は、「従業員の3割以下」が53%と最も多く、在宅勤務実施率が低い業種で利用割合が低くなる相関関係がみられました。利用割合を業種別でみると、「不動産・物品賃貸業」では「従業員の8割以上」が57%と最も多く、従業員規模が小さいほど、また、創業年数が短いほど「8割以上」が多くなりました。
- 「在宅勤務を実施または実施予定」と回答した割合を都道府県別でみると、「東京」「神奈川」などの南関東と「兵庫」「大阪」など関西、IT産業の盛んな「沖縄」で全国平均(18.2%)より多くなりました。
③実施開始時期 ※①在宅勤務の実施状況で「実施または実施予定」を選択した方が回答
- 在宅勤務(テレワーク)の開始時期は、「緊急事態宣言の発令を機に開始」が64%と最も多くなりました。新型コロナウイルス感染拡大により、在宅勤務(テレワーク)が進んだことがうかがえます。
- 創業年数別でみると、創業年数が長いほど「緊急事態宣言の発令を機に開始」が多くなりました。一方で、創業年数が10年未満では「緊急事態宣言の発令前から実施」が48%と緊急事態宣言の発令前から在宅勤務に取り組んでいたことがうかがえます。
経営者の声
在宅勤務ではどのような業務を行っていますか(自由回答)
製造業
- 会社のパソコンを家に持ち帰り、取引先へ自宅から直接営業活動(南関東)
- ソフトウェアの設計・開発(北陸・甲信越)
- 家庭用電源で使用可能な工具を製作し、在宅で製造可能にしている(関西)
- 自宅にパソコンを持ち帰り、デザインやイラスト製作を実施(南関東)
建設業
- 会社のパソコンを自宅へ持ち帰り、図面作成(東北)
- 会計ソフトを自宅のパソコンにダウンロードし経理業務を実施(南関東)
- 会社サーバーへのアクセスを自宅パソコンから可能とした(東海)
- データをUSBメモリー等で持ち帰り、自宅パソコンで業務を実施(関西)
卸・小売業
- 工場以外でできる仕事。ネット販売(北関東)
- 社員の自宅とリモートで繋いで、朝礼や研修会議なども実施(関西)
- 自宅に会社パソコンを持ち帰り、データ分析、チラシ作成等の業務を行っている(南関東)
- 管理業務に限定し、在宅勤務を実施(中国)
サービス業
- 教員が自宅でオンラインツールを用いて担当する生徒への指導を実施(南関東)
- 会社パソコンを持ち帰り、自宅で入力業務(北陸・甲信越)
- プログラムの開発、製造、テスト、ドキュメント作成(関西)
- イベントの内容などをフェイスブックに投稿(東北)
経営者の声
在宅勤務により、どのような効果を感じていますか(自由回答)
1位:外出自粛要請への対応(新型コロナウイルス感染防止)/819人
- 外出自粛要請に真摯に対応(東北/不動産・物品賃貸業)
- 新型コロナウィルス感染症対策をすることで心理的負担の軽減(南関東/学術研究、専門・技術サービス業)
2位:通勤時間の削減による肉体的・精神的な負担が軽減/237人
- 通勤不安による心身の負担が軽減できた(南関東/サービス業)
- 通勤時間の削減により、感染可能性の減少による安心感があった(南関東/製造業)
3位:通勤時間等の削減により、時間を有効的に使えた/172人
- 会議等がオンラインになり移動時間がないため時間を有効に使えた(南関東/情報通信業)
- 移動による時間のロスに気づくことができた(九州・沖縄/卸売業)
4位:育児や介護と仕事の両立ができた/168人
- 保育園が休園のため、在宅勤務により育児との両立ができた(南関東/建設業)
- 在宅勤務により育児中の女性の力を活用できた(九州・沖縄/製造業)
5位:業務の効率が上がった/109人
- 業務効率が上がり、今後の働き方を見直す契機となった(南関東/医療・福祉業)
- 会社でしかできないと思っていたが、工夫すれば在宅勤務も可能で効率が上がった(関西/製造業)
Q2. 在宅勤務を実施しない理由、または全従業員に導入できない理由を教えてください。
※Q1-①在宅勤務の実施状況で「実施または実施予定」「実施予定なし」と回答された方が対象
- 在宅勤務を実施しない理由は、「取引先との対応に支障があるため」が42%と最も多く、次いで「設備、通信環境整備のためのコスト負担が困難」が24%となりました。
- 在宅勤務の実施状況別でみると、「在宅勤務を実施または実施予定」では「取引先との対応に支障があるため」が44%と最も多くなりました。「その他」の理由は「工場部門などの現場の作業は在宅勤務できない」とのコメントが多くみられました。
- 実施しない理由を業種別でみると、「取引先との対応に支障があるため」は「卸売業」(52%)や「情報通信業」(55%)などが多く、企業間取引(BtoB)が要因となっていることがうかがえます。一方、「設備、通信環境整備のためのコスト負担が困難」は「宿泊・飲食サービス業」(38%)や「教育・学習支援業」(30%)など、顧客が来訪しなければサービスが成立しない企業対消費者取引(BtoC)企業が多い傾向となりました。
経営者の声
在宅勤務を実施していない理由、在宅勤務を全従業員に導入できないその他の理由(自由回答)
- 全従業員を在宅勤務にすると、工場の機械を動かすことができない(北関東/製造業)
- 紙ベースを前提とした業務の流れなので、仕事をする仕組みやシステムを変更する必要がある(東北/卸売業)
- FAXで来る注文書と出荷の対応が必要なため(南関東/製造業)
- 内勤者は在宅勤務を適用できるが、現場担当従業員は難しい(南関東/建設業)
- データベースのアクセスが専用端末(専用線)でなければ不可能なため(南関東/小売業)
- 郵便物の受け取り、または発送のため、交代出勤を行っている(関西/卸売業)
- 生徒は自宅で学習できるが、授業はオンライン配信するため講師は出社している(九州・沖縄/教育・学習支援業)
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