通史編1971-2002革新経営の時代
1600
1900
1930
1950
1970
2000
2020
1971-1980
「中小企業定期保険路線」への変革

1970年代の大同生命は、高度成長時代にキャッチアップするため、当時養老保険が主力であった生命保険業界ではニッチな存在であった「定期保険」に着目。「中小企業定期保険路線」に大きく舵を切りました。
以後もこの分野を深耕することとした大同生命は、保険料が割安で効率的な営業活動が可能な「集団扱」や「保険料口座振替」の推進など、様々な取組みを展開します。特に金融機関の口座から保険料を引き落とすという方法は、いち早く全国を網羅するネットワークを築き上げたこともあり、営業上の大きなアドバンテージとなって、1971年の全法連(全国法人会総連合)・納税協会(納税協会連合会)との提携や、1974年のTKC全国会との提携へとつながっていったのです。大同生命はさらに様々な挑戦を続けます。例えば、当時大阪の副都心として開発が予定されていた吹田市江坂への本社移転です。新たな本社ビルには、「人間と自然の調和」と「地域社会への奉仕」を目指した「ビルの中の森」(屋内森林)が設置されました。また、1977年の全国オンラインシステム化により、お客さまサービスの向上や営業支援ツールの提供などに取り組みました。大同生命にとっての1970年代、それは、「中小企業定期保険路線への転換」の成功、それを支えた業務改善や意識向上を図る「ニュー・ダイドウ運動」の展開でした。それにより1969年度末には約7,847億円であった保有契約高は、1979年度末には約15兆円と急拡大。まさに「革新の時代」となったのです。
基盤主導型営業
1969年度末時点で大同生命の保有契約高は7,847億円。そこから「中小企業定期保険路線」に転換する営業戦略が奏功した結果、1979年度末までの10年の間に、保有契約高は15兆3,203億円、個人保険の業界内シェアも1.2%(69年度末)から3%(79年度末)へと大躍進を遂げました。それに伴い、営業スタイルも変革しました。従来のように営業職員主導で顧客を開拓するのではなく、会社が集団基盤を開拓し、そこに営業職員を配置する「基盤主導型」の営業は、現在にも受け継がれる大同生命の大きな強みとなりました。
画期的な保険料の収納方法
「中小企業定期保険路線」への転換において、もうひとつ大きな特長は「保険料収納方法の変革」です。一括して保険料を収納する方法を模索していた大同生命は、全木連(全国木材組合連合会)との集団扱契約で口座振替の導入を進めました。1971年の全法連との提携では銀行協会などと調整したうえで、全国の金融機関での口座振替を実現しました。それらの経験をもとに1973年、日本システム収納(NSS)を設立、銀行や地銀、信金・信組等、日本のほとんどの金融機関の口座振替を可能とするネットワークを構築したのです。
新しい本社ビル
当時の旧肥後橋本社ビルは、老朽化対応や機械設備の近代化、床面積の拡充が必要な状況でした。そこで新本社ビルの建設を計画し、1972年10月、吹田市の江坂駅前に15階建て高さ68メートル、敷地面積約4,000平方メートルの高層ビルが完成します。ガラスで覆われた近代的な外観を宿しながらも、中に入ってみると、ビル5階分の高さにおよぶ吹き抜けに高木、低木、つる性植物など、合わせて約3,000株もの植物が。「ビルの中の森」として各方面で話題となり、地域住民の憩いの場として多くの人々に親しまれる存在となりました。
先進的なオンラインシステム
コンピュータが急速に普及した1970年代、大同生命が主に取り組んだのは、本社の事務処理を効率的に行うための「オンライン化」でした。大同生命が初めての電子計算機IBM1401機を導入したのは1964年のこと。その後1970年には本社内でコンピュータと各部門をオンラインで結ぶ「インハウス・オンライン」を完成させました。1972年、江坂の新本社ビル完成に伴い日立製作所製のHITAC 8500機が導入されたことでオンライン化は加速し、本社と肥後橋の大阪支社(当時)を結ぶオンラインが開通。翌年には本社と東京総局の間でオンライン化が実現し、保険料収納・契約サービス業務、保険金支払業務、契約内容や変更履歴の照会などを、担当者が即時に処理できるようになりました。1977年には、端末機80台を全国に配備した「全国オンラインシステム」が完成。全国のオンライン化は、事務の効率化によるコスト効率向上に加え、営業面でも大きな変化をもたらします。すなわち、保険料収納・契約サービス業務をはじめとする事務の迅速化によるお客さまサービスの向上に加え、お客さまのニーズに応じた設計書の作成といった、今では当たり前の営業活動に必要なツールを提供可能にしたのです。これらにいち早く取り組んだ大同生命のオンラインシステムは、その先進性が評価され、1979年には通産大臣表彰(当時)を受けました。
保健福祉の向上への貢献
戦前に生命保険会社として初めて病院経営を手がけた大同生命は、戦後も巡回診療車である「大同生命号」を朝日新聞厚生文化事業団に寄贈するなど、保健福祉の向上に貢献してきました。こうした伝統を活かし、生命保険事業の社会性を鑑みて、国民の健康の増進と福祉の向上に取り組むべく、1974年に大同生命厚生事業団を設立。当初は「医学研究助成」に注力しましたが、時代の要請から「地域保健福祉研究助成」「ボランティア活動助成」といった事業や、「健康小冊子の発行」「家庭看護の実習教室」といった健康に関する啓発活動へと活動の主軸を移していきました。助成金は総額17億4,557万円(4,673件)、発行した健康小冊子は76種類に上ります。(2023年10月現在)