【通史編】1997-2002 「不確実性」という荒波を越える | 革新経営の時代 | 大同生命120年史
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通史編1971-2002革新経営の時代

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1997-2002

「不確実性」という荒波を越える

1990年代後半、急激な景気の後退や自然災害を経験した各社では、高まる不確実性に備えるため、金融業界全体で生き残りを賭けた再編が進みました。大同生命もこの時代を乗り切るために様々な対策を講じます。

あらゆる経営判断において最優先したのは「リスクをしっかりとコントロールする」こと。そのため、「保険引受リスク」「資産運用リスク」「法務リスク」「災害リスク」などリスクを分類し、把握・分析・評価したうえで、許容するか縮減するかを各部門が判断することを定めた「リスク管理基本方針」を制定します。また、法令等遵守意識を全役職員で共有するために「コンプライアンス・マニュアル」を策定したのもこの頃です。次に、不確実性の波を乗り切るために必要な「業容の拡大」を実現するため、大同生命は1999年に太陽生命との全面提携に踏み切り、「T&D保険グループ」を組成。当時、破綻や経営危機をきっかけに再編が行われることが多かった中で、法人向け保険の大同生命と個人向け保険の太陽生命とのシナジーを見込んだ積極的再編は、各業界から評価されました。そして2001年には太陽生命とともに、第三のグループ会社「T&Dフィナンシャル生命」を誕生させます。2000年度を始期とする中期経営計画で示されたのは、経営資源を集中的にコア事業に投下する「コア強化」。中小企業市場というコア・マーケットでの優位性、競争力を絶対的なものとすることで業容拡大を図ったのです。リスク管理という防御壁を構築し、太陽生命との提携という安定軸(スタビライザー)を確保した上で、コア事業に推進力を集中させたことで、大同生命は一気に時代の荒波を乗り越えていこうとしたのでした。

リスクコントロールのために

1997年の日産生命破綻を皮切りに相次いだ生命保険会社の経営破綻は、生命保険業界の信用を大きく損なうこととなりました。各社は信頼回復のため、リスクをコントロールする方策を講じます。大同生命では、1990年代から全社的なリスク管理体制を整えはじめ、2001年には「リスク管理基本方針」を策定。この方針ではリスクを分類し、各リスクについての管理責任部署を定め、把握・分析・評価を行うとともに、専門部署を設置して大同生命を取り巻くリスクの全容を把握した上で、定期的に取締役会に報告することとしました。

太陽生命との全面提携

1990年代末以降、多くの生命保険会社の債務超過が明らかとなり、外資傘下への編入、提携・合併など、業界の再編が進んでいきます。この動きは、損害保険や銀行・信託・証券といった業界も同様で、金融業界全体の大きな再編のうねりの中、大同生命の選択は「挑戦」でした。より強固な経営基盤の確保を目指し、1999年に太陽生命と全面提携を行います。当時は両社とも相互会社でしたが、大同生命は、2002年に株式会社化・上場することをすでに検討していたこともあり、両社は将来的に株式会社となって持株会社の下で経営統合することを想定。1999年6月には、グループ名称を「T&D保険グループ」とすることが決まりました。太陽生命をパートナーに選んだのは、同社が高い健全性を維持する会社であり、「堅実経営」という経営スタイルが大同生命と共通していたためです。さらに中小企業市場に強みをもつ大同生命と、家庭市場で徹底したリテール戦略を採る太陽生命との間ではマーケットが重ならないため、相互補完する関係が構築できると考えられました。この提携に新たな会社が加わったのは2001年。きっかけは、1895年に創業した東京生命が2001年に経営破綻し、更生特例法の適用を受けて再建を目指したことです。再建スポンサーの選定は公募で行われることとなり、大同生命は太陽生命とともに「T&D保険グループ」として公募に参加。結果、再建スポンサーとして選定され、東京生命を「T&Dフィナンシャル生命」として再建しました。同社は、当時大同生命も太陽生命も行っていなかった銀行窓販(資産運用型保険商品の金融機関窓口販売)に特化した会社として再出発しました。

ITからICTへ

1990年代後半のパソコンやインターネットの急速な普及は、大同生命でも働き方を大きく変える契機となりました。1997年に本社と全国300拠点をパソコン網(全社LAN)でつなぐ「全社OA」を稼働させると、以後はすべての社内通達・通知をパソコン上で行うように。営業端末「エース21」「ハンディエース」も、ITの急速な発展により、次々と機能の追加を求められました。1999年には、それらに替わるノート型パソコンの「エース・ナビ」を導入しました。そのほかにも、最新のITを活用した様々なシステムやサービスを導入。支払査定のイメージ処理(1996年)、コールセンターの設置(1997年)、24時間対応の自動音声手続き案内(2000年)、顧客データベースの稼働(同)などに取り組みました。時代がIT(Information Technology)からICT(Information and Communication Technology)へと大きく変化する中で、大同生命も業務体系を大きく変革していったのでした。