【通史編】2011- 大同生命の九転十起 | 未来を切り拓くの時代 | 大同生命120年史
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通史編2002-未来を切り拓く時代

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大同生命の九転十起

「九転十起」。それは創業者の一人である広岡浅子の座右の銘ともいえる、「何度困難に遭遇しても、決して諦めない」精神を表した言葉です。2000年代後半から2020年代は、未曽有の災害や経済危機が日本中の企業に襲いかかり、経済が停滞。大同生命もかつてないほどの逆風にさらされた時代でした。

例えば、先に述べたリーマン・ショック(2008年9月)や、保険不払い問題に続き東日本大震災の発生(2011年3月)、新型コロナウイルス、金融・保険業界においては定期保険の税務取扱見直し(2019年2月〜7月)への対応も迫られました。いずれも大同生命のビジネスモデルを揺るがす重大事でしたが、これらの課題や困難を一つひとつ乗り越えながら、その中で「中小企業を守る」という自らの存在意義と使命を改めて見つめ直していきました。また、そうした困難な状況においても、2010年に販売を開始したJタイプを契機とした「就業不能保障分野の開拓・深耕」や、異業種との提携による「付加価値サービスの拡充」を継続。特に重大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)罹患による就業不能リスクを保障するJタイプは、企業の事業継続に心強いサポートを行う画期的な新商品として、大きな反響を得ることとなりました。こうして大同生命は、広岡浅子ら創業者から受け継いだ「挑戦のDNA」に基づき、中小企業の持続的成長に必要な「新たな価値の提供」に磨きをかけていきました。
そして2022年。創業120周年を迎えた大同生命は、保険商品を超えて、中小企業経営者のためのWEBコミュニティを開設。またDX施策の強化や働き方改革の加速など、社内外の変革に注力し、さらなる事業価値の向上、創出に向け、歩みを続けています。

就業不能保障分野の開拓・深耕

2010年10月、大同生命は現在の商品戦略のベースとなっているJタイプ(無配当重大疾病保障保険)を発売しました。この商品は死亡保障がなく、重大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)に罹患することにより保険金が支払われるものです。「第2の創業」以来、大同生命は中小企業がリスク対策として活用する定期保険のラインナップを拡充してきました。しかしながら、重篤な病気のために中小企業の経営者が長期入院し、回復後も会社経営は不可能といったケースを目の当たりにすることも多くありました。経営者の高齢化、現役期間の長期化により、そうしたリスクはさらに高まります。それをカバーするために開発したのがJタイプです。重大疾病保障としては、それまでの商品の最高保険金額が2,000万円のため、中小企業の事業継続を十分にカバーできるものではありませんでした。Jタイプは、中小企業のリスクをカバーするため、最高保険金額を1億円(その後2億円に引き上げ)に設定するとともに、死亡保障をカットすることで保険料を安く抑えました。Jタイプの発売を契機に、以後はTタイプ(無配当就業障がい保障保険)、介護リリーフα(無配当終身介護保障保険)といった就業不能・介護保障商品のラインナップを拡充。2023年3月末時点でこうした商品の保有契約高は10兆円に達し、全体の20%にまで成長しました。

東日本大震災の発生

2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の大きな地震が発生しました。大同生命では震災発生後すぐに緊急対策本部を設置し、全社を挙げて対応にあたりました。震災発生から6日後には全役職員の無事を確認。12月末には、10万7千件にのぼる「お客さまの安否確認」と「保険金・給付金請求のご案内」も概ね完了し、計43億円の保険金・給付金を支払いました。また、全社をあげた被災地の支援活動も行われ、被災地への物資支援と要員支援(延べ330人)、災害復興義援金(3,000万円)と東日本大震災支援募金(総額3,960万円)など、これまでにない規模の支援を行いました。

創業110周年を迎えて

2012年、大同生命は創業110周年を迎え、それまで事業を継続できたことに対する「感謝の気持ち」を表すとともに、未来に向けて「中小企業とともに歩む」「社会・地域に貢献する」という姿勢を社内外に示すための様々な施策を展開しました。中小企業を応援する冠番組『ヒットの泉』(朝日放送系列)の一社提供、「経営者1万人アンケート」の実施、「大同生命文書」の研究・公表、『小説 土佐堀川』(古川智映子著、1988年刊行)の復刻が、主な事例です。「大同生命文書」の研究・公表は、当時大同生命が保管していた加島屋時代からの歴史資料を大阪大学に寄託し研究したものです。これと連動し、大阪本社ビルでは加島屋から大同生命までの歴史を紹介する「特別展示」の公開を開始しました。あわせて、創業者の一人「広岡浅子」をより広く紹介すべく、彼女を主人公とした『小説 土佐堀川』を復刻。これら一連の活動が、後に広岡浅子をヒロインのモデルとしたNHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』(2015年後期)の放送へとつながりました。

異業種との提携・協働

Jタイプの発売を契機とした「就業不能保障分野の開拓・深耕」とあわせて、大同生命は保険にとどまらない「付加価値サービス」を拡充していきました。2015年9月、中小企業のM&A仲介を展開するストライク社と提携。2016年9月には、「重介護ゼロ®社会」を目指すサイバーダイン社と業務提携を行い、翌年7月には同社の開発・提供するロボットスーツ「医療用HAL®」による所定の難病治療を保障する新商品「HALプラス特約」を発売しました。2018年10月には、りそな銀行と相続・事業承継などの分野で業務提携をスタート。さらに2020年3月には埼玉りそな銀行・関西みらい銀行・みなと銀行へと協業先を拡大しました。複雑化する中小企業の経営環境を踏まえて、大同生命は「保険を超える価値」の提供を加速させていきました。

定期保険の税務取扱の見直し

大同生命が主力としてきた経営者保険は、中小企業のリスクを低コストでカバーしたいというニーズに応えるものです。そのため貯蓄性商品と比べて保険料が安く、かつ法人契約の場合は保険料が損金算入できる定期保険のラインナップを拡充してきました。一方、生命保険業界では、2017年頃から、保険料の損金算入効果を謳い、途中解約による払戻金の受け取りを前提とした全額損金型定期保険の販売競争が過熱しました。こうした中、2019年2月14日、国税庁は節税目的で加入する経営者保険の税務上の取扱を見直す方針を告知。いわゆる「バレンタインショック」です。これにより大同生命は、定期保険等の一部について法人契約の販売を停止。一方、中小企業経営者の高齢化や後継者不足による現役期間の長期化が進む中で、引き続き中小企業の長期保障ニーズに応えていく必要があったため、新たな税務取扱いの趣旨に沿った商品の開発を急ピッチで進めていきました。そして2019年7月、国税庁が新たな税務取扱を公表したわずか3日後、大同生命はその趣旨にマッチした新たな商品「Lタイプα」「Jタイプα」「Tタイプα」を発売。中小企業経営者の多様な保障ニーズに応えるとともに、保険金額・保険期間の設定に加えて、保険料と解約払戻金のバランスをオーダーメイドできる、他社にはない画期的な商品でした。

新型コロナウイルス感染症の蔓延

2020年初頭。それまでの日本は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を目前に控え、海外から多くの観光客が訪れるインバウンド需要で沸き立っていました。しかし、世界中で猛威をふるった新型コロナウイルス感染症の蔓延により、それまでの生活や働き方が一変する事態となります。同年1月30日にWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言し、日本政府が対策本部を設置。大同生命でも同日「警戒対策本部」を設置し、対応にあたりました(2023年5月まで継続)。コロナ禍でも十分なお客さま対応を行うには、まずは従業員が安心・安全に仕事ができる環境を確保する必要があるため、大同生命は、従業員とその家族の健康・安全の確保に最優先に取り組むとともに、未曽有の事態に直面したお客さまに対し、保険料の払込や保険金・給付金の支払などについて、様々な特別取扱いを実施しました。またリモートワークや非対面サービスなど、ニューノーマルの急速な進展を踏まえ、それまでは対面が前提であった営業活動や契約手続きにおいて、ビデオ会議システム(ZOOM)による面談や、パソコン・スマートフォンを利用した「つながる手続」を導入しました。これらは業務効率の向上や働き方改革を目的としてコロナ禍以前から検討を開始していたため、コロナ禍によるお客さま・代理店の非対面ニーズの急速な高まりに対し、スピーディに応えることができました。

創業120周年を迎えて

2022年7月、大同生命は創業120周年を迎えました。
この節目の年を迎えるにあたり、これまでの発展を支えてきた「大同生命の強み」と「大同生命らしさ」を企業理念の中で表現することとしました(企業理念の再整理)。前年度から社内で検討チームが結成され、立場や世代を超えたメンバーが議論を重ねた結果、「想う心とつながる力で中小企業とともに未来を創る」という「ミッション」を掲げることとしました。そして、この「ミッション」と「ビジョン」「バリュー」「社是」で構成される「新たな企業理念」が設定されたのです。
また、2022年4月にスタートした「中期経営計画(2022〜2025年度)〜“中小企業に信頼されるパートナー”となるために〜」では、「提供価値の進化・拡大」「“つながる力”の強化」「顧客体験を変革するDX/IT」「サステナブルな組織に向けたEX改革」に重点を置き、「お客さまの期待を超える価値をお届けする」という大同生命が目指す姿を掲げました。さらに、2023年3月には、社会的な責任を果たしつつ、中小企業とともに社会的課題の解決に取り組むための「サステナビリティ推進計画」を策定しました。
こうして大同生命は、「保障の提供」から「中小企業の経営課題解決」へと自らの貢献領域を拡大し、「中小企業とともに未来をつくる」道を歩んでいます。

創業120周年では、中小企業経営者の方々をはじめとするステークホルダーの皆さまに、これまで支えていただいた感謝の気持ちと、これからも「中小企業とともに未来をつくる」という大同生命の想いをお伝えし、サステナブルな社会の実現に貢献していく意志を示すため、様々な記念事業を展開。中小企業における健康経営®の実践支援、経営者同士が想いや悩みを共有するWebコミュニティ「どうだい?」、「中小企業の学びの場」の提供、中小企業の経営変革への貢献を目的とした神戸大学・東洋大学・東大病院との共同研究などを行いました。さらに加島屋に関する大学等との共同研究、「広岡浅子」関連書籍のベトナム語翻訳・出版、新たなテレビCMの放映、中小企業応援番組『アルバレスの空』(BSテレ東)への一社提供などを行いました。